ビジョントレーニングに取り組むメリット
格闘技のディフェンスについて、次の3つのステップを踏むことが重要であると私は考えます。
①まずは、相手の攻撃が当たらない距離をキープすること(適正距離)
②つぎに、相手の攻撃が当たる間合いに入っても回避できること(回避能力)
③最後に、相手の攻撃を回避できなかったときでもガードできること(ディフェンス技術)
これらのうち、とりわけ②のスキルアップには動体視力が重要な要素となってきます。
しかし、動体視力は年齢とともに低下していきます。
よくベテラン選手で技術力も高く、強い肉体を持った選手が若手選手に負けてしまうことがあります。
この原因の一つには、動体視力の低下によって、相手の攻撃に対する反応速度が低下していることが挙げられると思います。
そこで、おすすめしたいのがビジョントレーニングに取り組むことです。
ビジョントレーニングに取り組むことによって、動体視力は鍛えることができます。
このようにして動体視力を鍛えることによって、選手生命を長くすることができると考えています。
また、しっかりと動体視力を鍛えれば、ある程度の年齢になってから格闘技を始めた方であっても、試合で活躍できるようになるとも考えています。
もちろん、ベテラン選手のみではなく、若手選手であっても、ビジョントレーニングに取り組んでいるか否かで大きな差が生まれると確信しています。
なお、ビジョントレーニングには、副次的な効果として、文字を読むスピードが速くなるといったメリットもあります。
そのため、仕事や勉強の能力アップにもつながり、一石二鳥です。
ビジョントレーニングのやり方
私が最も効果があると感じた方法は、『3週間「速読」ビジョントレーニング』(2010)[内藤貴雄]という書籍に従って取り組む方法です。
とりわけ、p.124-127記載の『アイ・ストレッチ』の項目をトレーニングに取り入れれば、驚くほど動体視力が強化されていることに気付くと思います。
そこで、この記事では、その要点をまとめさせていただきました。
なお、オリジナルについてはこちらをご参照ください↓
アイ・スウィング(1)
①まっすぐ正面を見ながら、リラックスして座る。
②両眼を上下左右に動かせるギリギリの位置までゆっくりと大きく動かす。
③それぞれの位置で3つずつ数える。
④右上、左下、左上、右下も同様にして行う。
⑤②~④を目を閉じて行う。

アイ・スウィング(2)
①まっすぐ正面を見ながら、リラックスして座る。
②両眼を時計回りと反時計回りにゆっくりと大きく3回転させる。
③②と同様にして、「八の字」を描くように両眼を3回転させる。
④③を逆回転でも行う。
⑤②~④を目を閉じて行う。

ヘッド・スウィング
①リラックスして座る。
②正面の一点を見つめる。
③一点を見つめたまま、上下と左右に3回ずつ首をゆっくりと大きく限界まで動かす。
④③と同様にして、時計回りと反時計回りにも2回ずつ首を回転させる。
親指サッカード
①両腕が水平になるようにまっすぐ前に伸ばし、肩幅の間隔に広げ、親指を立てる。
②頭を動かさず、視線のみを動かし、左右のツメを10往復する。
最初ゆっくり、徐々に速く。
③両腕の間隔を2倍、3倍に広げ、②と同様の動きをそれぞれ5往復ずつする。
④①の状態から右腕を20センチほど下げ、左腕を20センチほど上げ、②と同様の動きをする。
⑤右腕と左腕を入れ替えて④を行う。
⑥両腕の間隔を2倍、3倍に広げ、④~⑤と同様の動きをそれぞれ5往復する。
格闘技への応用
先ほど紹介したビジョントレーニングは、止まっている対象物を目で追うトレーニングが中心となっています。
しかし、格闘技では、動く対象物を目で捉えることが必要となります。
そこで、ビジョントレーニングを格闘技で使えるレベルにまで昇華させるためには動く対象物を目で捉えるトレーニングも練習メニューに加えることをおすすめします。
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