メリット
場所的制約からの解放
自重筋トレは、そのほとんどが器具や道具を必要としません。
そのため、遠征先や出張先、旅行先など、どこでも取り組むことができます。
これは、トレーニングを習慣化させ、長く継続するための大きな利点といえるでしょう。
金銭的制約からの解放
先ほど申し上げた通り、自重筋トレには基本的に器具や道具を必要としません。
また、正しい知識がある限り、指導者や補助者などのサポートを必要としません。
そのため、ジムの会費や器具代にかかるコストを大幅に減らすことができます。
パワーアップ
自重筋トレでは、筋肉が大きくならず、パワーが強くならないとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
重たいダンベルやベンチプレスを繰り返す方が、筋肉が大きくなり、パワーアップするのではないかと。
たしかに、重たいダンベルやベンチプレスを繰り返すことによって、筋肉が発達し、パワーが強くなるのも事実です。
しかし、自重筋トレによって得られるパワーは少し性質が異なります。
前者については、純粋な腕の力や発達した胸筋によってパワーを発揮するイメージです。
他方、後者については、全身の筋肉を連動させてパワーを発揮するイメージとなります。
たとえば、ベンチプレスをまったく行わない体操選手が、体重×2のウェイトのベンチプレスをこなすことも珍しくないそうです(プレット・コントレラス,p.37)。
そして、スポーツをされている方、とりわけ階級別のスポーツに取り組まれている方にとっては後者がおすすめです。
なぜなら、体重が重くなるウェイトトレーニングよりも、自身のウェイトにあった筋力を最大化させる自重筋トレの方が、限られたウェイトの中でパワーを最大化させるのが得意であるからです。
パフォーマンスの向上
自重筋トレを始めると、スポーツにおけるパフォーマンスが著しく向上するのが感じられると思います。
とりわけ、身体の使い方が上手くなることに気づくと思います。
それは、以下の理由によるものと考えます。
①身体の可動域が広くなることによって柔軟な動きができるようになるため。
②体幹が鍛えられることによってバランスがよくなるため。
③全身の筋肉を連動させることできるようになるため。
姿勢の改善
自重筋トレに取り組むと、コアが強くなります。
コアが強くなると、姿勢がよくなります。
具体的には、脊柱起立筋が鍛えられることによって胸椎後湾(猫背)が改善し、腹筋が鍛えられることによって腰椎前湾(脊柱前湾症)や骨盤の前傾過剰の改善が期待できそうです(プレット・コントレラス,p.58)。
デメリット
プル系トレーニングを自宅で行う場合のコスト
先ほど、自重筋トレにはほとんどコストがかからないと述べました。
しかし、自重筋トレの全てを自宅で完結させようとする場合には、一定のコストがかかります。
自重筋トレには、大きく分けて、腕立て伏せ等のプッシュ(押す)系のトレーニングと懸垂等のプル(引く)系のトレーニングがあります。
そして、前者については、器具等が必要となりません。
他方、後者については、自宅で行う場合には、懸垂バーやサスペンションシステムといった器具が必要となります。
ただし、丈夫なドアや梁等のある方々は問題となりません。
そして、これらの器具を揃えようとすると、やはり一定のコストとスペースが必要となってしまいます。
どうしてもコストをかけたくない場合
それでも、やはりコストをかけたくないという方には、公園の鉄棒やブランコの支え部分を利用することをおすすめいたします。
ただし、雨の日の利用にはお気を付けください。
おすすめ書籍
自重筋力トレーニング アナトミィ(2016)[プレット・コントレラス]
理論的根拠のあるトレーニング=我流のトレーニングからの脱却
書籍を通じて自重筋トレに取り組むメリットは、理論的根拠のあるトレーニングができる、言い換えると、我流のトレーニングから脱却できる点にあると考えます。
自宅やトレーナー不在のジムで筋トレをされている方の中には、「とりあえず腹筋を割りたいから腹筋トレーニングをしよう」とか「腕力が強くなりたいからダンベルを持ち上げよう」などと考えてトレーニングに励まれている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、感覚的に優れている方は、自然と自分の目的を達成するために真に必要なトレーニングをされていると思います。
しかし、中には、自分では必要と思って鍛えたもののスポーツでのパフォーマンスにつながらなかったり、見た目のバランスが余計に悪くなったと感じたりされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合、どのようすればよいのでしょうか。
答えの一つは、専門家に委ねるです。
そこで思い付くのは、トレーナーのいるジムに入会し、トレーナーの指導を受けることですね。
ところが、トレーナーのバックボーン(競技)は人それぞれですし、ジムの方針で良さの発揮されないトレーナーがいるのも事実です。
前者についてはパーソナルなトレーナーを、後者についてはジム所属のトレーナーを主に念頭に置いています。
このような点を踏まえると、世界的に定評のあるトレーニングの専門家の書籍を使用してトレーニングをするというのが失敗のリスクの少ない方法であるといえます。
正しいフォームが身につく
本書では、一つ一つのトレーニングに、意識すべき筋肉のイラストとともに、トレーニングの目的や正しいフォームが詳細に解説されています。
詳細さでいえば、類書の比較にならないほどです。
まさに、アナトミィ(解剖学)の名に相応しいといえます。
おすすめの使い方
プログラム通りに取り組む
本書の巻末には、プログラムのサンプルが掲載されています。
そして、このプログラムを反復することがおすすめです。
なぜなら、最も効率的で汎用性のあるトレーニングがプログラムに組み込まれているからです。
おすすめは全身ルーチン
全身ルーチンというのは、一回のトレーニングで全身のトレーニングを行うことです。
反対に、部位ごとに日をずらしてトレーニングするのが、部位別ルーチンです。
後者については、部位別に集中的にトレーニングができる反面、トレーニングの期間が空いてしまうと、すべての部位を回すのに日数を要してしまうというデメリットがあります。
セット数は可処分時間から逆算
巻末のプログラムには、トレーニング毎のセット数が掲載されています。
そして、すべてのトレーニングを通じて、セット数は固定されることをおすすめします。
また、セット数の決め方については、可処分時間から逆算するのがおすすめです。
例えば、1セット10回と決めてトレーニングをし、全体で1時間かかる場合において、1日2時間のトレーニング時間を確保することができるときは、1セット20回に変更するといった具合です。
バランスよく、継続できることが大切です。
ターゲットとなる筋肉を意識する
是非トレーニングを行う際は、ターゲットとなる部位を意識して、ゆっくりと、丁寧に行うようにしてください。
雑に早くこなそうとすると、本来鍛えるべき筋肉以外の筋肉や関節に負担をかけることとなったり、質の良い筋肉がつきにくくなってしまうためです。
最新 ヨガ アナトミィ(2023)[レスリー・カミノフ他]
トレーニング前後のストレッチには本書を参考にされることをおすすめします。
類書に「ストレッチング アナトミィ」(2016)[フレデリック・ドラヴィエ他]がありますが、こちらは、狙った部位をピンポイントでほぐす印象が強いです。
他方、「最新 ヨガ アナトミィ」(2023)[レスリー・カミノフ他]の方は全身を満遍なくほぐすことができる印象です。
したがって、後者をおすすめします。
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