ボクシングジムでトレーナーをしていると、メンバーさんからよく質問されるのが、ストレート系のパンチ(ジャブやストレート)を強く打つ方法についてです。
そこで、今回はストレート系パンチを強く打つ方法について解説していきます。
引きを速くする。
人は思っているよりも拳を握るのが早い。
ストレート系のパンチを強く打てないと悩むメンバーさんのサンドバッグ打ちやミット打ちを見ていると、サンドバッグやミットの手前で拳を握ってしまっていることが多いことに気づきます。
では、対象物の手前で拳を握ることのどこに問題があるのでしょうか。
結論から申し上げると、スピードが落ちる点にあります。
力=質量×加速度という式をご存知の方も多いと思います。
質量、つまり拳の重さが変わらない以上、パンチの力を強くするには加速度を上げていかなければなりません。
わかっていても握ってしまう⁉
では、なぜ、わかっていても拳を握るタイミングが早くなってしまうのか。
それは、本能的に早く握ってしまうからです。
どういうことでしょうか。
実は、人は自分の拳を守りたいという思いから、無意識に拳を握り、パンチにブレーキをかけてしまうのです。
例えるならば、目の前に物が飛んできたときに、無意識に目を瞑ってしまうことと近いかと思います。
そして、結果として、スピードが遅くなり、パンチの威力が落ちてしまう。
では、どうすれば、拳を握るタイミングを遅くし、スピード上げることができるのでしょうか。
マンガ肉から骨を引き抜くイメージ⁉
答えは、対象物の少し先を狙って打つです。
サンドバッグであれば、サンドバッグの中心に芯があることをイメージし、その芯を素早く引き抜くようにして打てばよいのです。
例えるならば、サンドバッグをマンガ肉に見立て、中心にある骨を素早く引き抜くようにして打つといえばよいでしょうか。
また、ミットであれば、持ち手の鼻をつまんで素早く引っ張るイメージで打てばよいでしょう。
このようにして打てば、自然と当たる瞬間に拳を握ることができるようになります。
体重を乗せる。
足の着地と拳の到達のタイミング
強いパンチを打つコツの2つ目は、体重を乗せることです。
体重の乗ったパンチが強いことは説明の必要がそれほどないのではないでしょうか。
では、どういったパンチが体重の乗ったパンチといえるのでしょうか。
それは、足の着地よりも拳の到達するタイミングが少しだけ早い状態で打つパンチです。
”少しだけ”といったのは、足の着地よりも拳の到達が早すぎると、相手によけられたときにバランスを崩したりしまうためです。
お相撲さんのつっぱりをイメージ⁉
では、どのようにして体重を乗せる練習をすればよいのでしょうか。
まず、ジャブの場合、オーソドックスの方は、左腕を伸ばした状態で、サウスポーの方は、右腕を伸ばした状態で壁に手をついてください。
ストレートの場合、オーソドックスの方は、右腕を伸ばした状態で、サウスポーの方は、左腕を伸ばした状態で壁に手をついてください。
つぎに、ジャブ、ストレートどちらの場合も、オーソドックスの方は、左足を上げ、サウスポーの方は、右足を上げてください。
つまり、前手と後ろ足だけで身体を支えてください。
このようにすると、全体重が拳に乗るのを実感することができるのではないでしょうか。
例えるならば、お相撲さんが柱に向かってつっぱりを打つ姿に似ていると思います。
なお、ワンツーのように、ジャブとストレートを連続で打つ場合には、ジャブを打った後に着地し、着地した状態でストレートを打ってください。
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