メリット
場所や時間を選ばない
自重筋トレは、そのほとんどが器具や道具を必要としません。
そのため、遠征先や出張先、旅行先など、いつでもどこでも取り組むことができます。
これは、トレーニングを習慣化させ、長く継続するための大きな利点といえるでしょう。
お金がかからない
先ほど申し上げた通り、自重筋トレには基本的に器具や道具が必要ありません。
また、正しい知識がある限り、指導者や補助者などのサポートを必要としません。
そのため、ジムの会費や器具代にかかるコストを大幅に減らすことができます。
ケガをしにくい
自重筋トレはどれだけ重くても自分の体重以上の負荷がかかることはありません。
そして、身体というのは、常に自分の体重を支えています。
そのため、自重筋トレは、身体に過度な負荷がかからず、ケガをしにくいといえます。
したがって、老若男女問わず取り組めるというメリットがあります。
身体が変わる
自重筋トレを始めると、見た目の変化はもちろん、身体が楽になるのを実感できると思います。
一つだけ例を挙げてみます。
代表的な自重筋トレの一つに『懸垂』があります。
普段トレーニングをされていない方は、いきなり懸垂をすることは難しいかもしれません。
しかし、懸垂バーにぶら下がって、自分の体重を支えるだけでも、肩こりなどの不調が改善されていきます。
懸垂バーにぶら下がってみるとわかりますが、私たちは左右の腕の長さが全く異なっていることを実感できます。
これは、普段、リュックを背負ったり、かばんを肩にかけたり、重い買い物袋を手に持つことが原因で左右のバランスが崩れてしまっているからでしょう。
そこで、懸垂バーにぶら下がって、腕で自分の体重を支えていると、肩甲骨周りの筋肉が伸び、身体のバランスが整ってきます。
すると、肩こりなどの不調も改善されていきます。
そして、1日1回でも懸垂ができるようになると、肩甲骨周りの筋肉が動き、さらに身体の調子が良くなってくるのを実感できると思います。
パフォーマンスの向上
自重筋トレを始めると、スポーツにおけるパフォーマンスが著しく向上するのが感じられると思います。
とりわけ、身体の使い方が上手くなることに気づくと思います。
それは、以下の理由によるものと考えます。
①身体の可動域が広くなることによって柔軟な動きができるようになるため。
②体幹が鍛えられることによってバランスがよくなるため。
③全身の筋肉を連動させることできるようになるため。
ボクシングを例にとって解説します。
①については、例えば、腕立て伏せを丁寧に行うと、肩の動きが柔軟になり、パンチの飛距離が伸びます。
②については、コアを鍛えるトレーニングに取り組むことにより、パンチを受けてもバランスを崩しにくい身体になります。
③については、自重筋トレは一度のトレーニングで複数の筋肉にアプローチすることができるため、自然と全身の筋肉を連動させることができるようになります。
その結果、例えば、下半身で生み出したパワーを上半身に伝えるのが上手くなり、ひいてはパンチを強く打つことができるようになります。
デメリット
モチベーションの維持
自重筋トレは、一人で取り組むことができる反面、継続できるかどうかは自分にかかっています。
そのため、継続できるかどうか自信のない方は、友人と一緒に取り組んだり、(コストはかかりますが)ジムに通うのも一つの方法でしょう。
プル系トレーニングを自宅で行う場合のコスト
先ほど、自重筋トレにはほとんどコストがかからないと述べました。
しかし、自重筋トレの全てを自宅で完結させようとする場合には、一定のコストがかかります。
自重筋トレには、大きく分けて、腕立て伏せ等のプッシュ(押す)系のトレーニングと懸垂等のプル(引く)系のトレーニングがあります。
そして、前者については、器具等が必要となりません。
他方、後者については、自宅で行う場合には、懸垂バーやサスペンションシステムといった器具が必要となります。
ただし、丈夫なドアや梁等のある方々は問題となりません。
そして、これらの器具を揃えようとすると、やはり一定のコストとスペースが必要となってしまいます。
それでも、やはりコストをかけたくないという方には、公園の鉄棒やブランコの支え部分を利用することをおすすめいたします。
ただし、雨の日の利用にはお気を付けください。
自重筋トレの始め方
書籍を使用する
書籍を通じて自重筋トレに取り組むメリットは、理論的根拠のあるトレーニングができる、言い換えると、我流のトレーニングから脱却できる点にあると考えます。
自宅やトレーナー不在のジムで筋トレをされている方の中には、「とりあえず腹筋を割りたいから腹筋トレーニングをしよう」とか「腕力が強くなりたいからダンベルを持ち上げよう」などと考えてトレーニングに励まれている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、感覚的に優れている方は、自然と自分の目的を達成するために真に必要なトレーニングをされていると思います。
しかし、中には、自分では必要と思って鍛えたもののスポーツでのパフォーマンスにつながらなかったり、見た目のバランスが余計に悪くなったと感じたりされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合、どのようすればよいのでしょうか。
答えの一つは、専門家に委ねるです。
そこで思い付くのは、トレーナーのいるジムに入会し、トレーナーの指導を受けることですね。
ところが、トレーナーの質にはかなりの個人差があるのも事実です。
このような点を踏まえると、世界的に定評のあるトレーニングの専門家の書籍を使用してトレーニングをするというのが失敗のリスクの少ない方法であるといえます。
おすすめの書籍
正しいフォームが身につく
本書では、一つ一つのトレーニングに、意識すべき筋肉のイラストとともに、トレーニングの目的や正しいフォームが詳細に解説されています。
詳細さでいえば、類書の比較にならないほどです。
まさに、アナトミィ(解剖学)の名に相応しいといえます。
おすすめの使い方
プログラム通りに取り組む
本書の巻末には、プログラムのサンプルが掲載されています。
そして、このプログラムを反復することがおすすめです。
なぜなら、最も効率的で汎用性のあるトレーニングがプログラムに組み込まれているからです。
おすすめは全身ルーチン
全身ルーチンというのは、一回のトレーニングで全身のトレーニングを行うことです。
反対に、部位ごとに日をずらしてトレーニングするのが、部位別ルーチンです。
後者については、部位別に集中的にトレーニングができる反面、トレーニングの期間が空いてしまうと、すべての部位を回すのに日数を要してしまうというデメリットがあります。
セット数は可処分時間から逆算
巻末のプログラムには、トレーニング毎のセット数が掲載されています。
そして、すべてのトレーニングを通じて、セット数は固定されることをおすすめします。
また、セット数の決め方については、可処分時間から逆算するのがおすすめです。
例えば、1セット10回と決めてトレーニングをし、全体で1時間かかる場合において、1日2時間のトレーニング時間を確保することができるときは、1セット20回に変更するといった具合です。
バランスよく、継続できることが大切です。
ターゲットとなる筋肉を意識する
是非トレーニングを行う際は、ターゲットとなる部位を意識して、ゆっくりと、丁寧に行うようにしてください。
雑に早くこなそうとすると、本来鍛えるべき筋肉以外の筋肉や関節に負担をかけることとなったり、質の良い筋肉がつきにくくなってしまうためです。
トレーニングの質を高めるために
トレーニング前後にはしっかりとストレッチをされることをおすすめします。
ストレッチで可動域を広げた状態でトレーニングに取り組むと、質の良い筋肉がつくためです。
また、トレーニング後にストレッチをするのは、固くなった筋肉をほぐしてあげるためです。
そして、このときも我流ではなく、専門家の立てたプログラムを利用すると良いでしょう。
おすすめはこちらです。
なお、類書に「ストレッチング アナトミィ」(2016)[フレデリック・ドラヴィエ他]があります。
しかし、こちらは狙った部位をピンポイントでほぐす印象が強いです。
そのため、全身の筋肉をほぐすには「ヨガアナトミィ」(2023)[レスリー・カミノフ]の方がおすすめです。
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