ボクシングのトレーナーをしていた頃、さまざまな選手を見てきた。
中には兄弟そろってインターハイを制した選手もいたが、彼らは特別な存在ではなく、他にも多くの好成績を残す選手たちがいた。
振り返れば、彼らにはいくつかの共通点があったように思う。
① 礼儀正しさ 🙇♂️

ジムに入れば「こんにちは」、すれ違えば「お疲れ様です」。
リングに上がる前後や練習の終わりにも必ず挨拶をしていた。
この姿勢は単なるマナーではない。
相手や環境への敬意が、練習や試合への真剣さにつながり、結果として力を引き出していたのだろう。
② 物の扱いの丁寧さ 🧤

扉は手を添えて静かに閉め、ロッカーもそっと扱う。
グローブやミットは大切に保管し、使うときも丁寧に扱う。
こうした所作は一見ボクシングと無関係に見えるが、動作の精度やフォームの美しさに直結していた。
野球の大谷翔平選手やイチロー選手も、道具を大切にすることで知られている。
バスケットボールの田臥勇太選手も、靴紐を結ぶのに10分以上かけると語っていたと記憶している。
「結局、ケガをしにくくなり、余計な時間を割かなくて済む」という趣旨の言葉には、習慣と実力の確かな因果関係がにじむ。
さらに、小林弘幸氏の著書『ゆっくり動くと人生がすべてうまくいく』にも、ゆっくりと丁寧に生きることがあらゆるパフォーマンスを高めると記されている。
スポーツも人生も、結局は一つひとつの動作を大切にするところから磨かれるのだ。
③ 家族の熱心なサポート 👨👩👧👦

強い選手の背景には、熱心な家族の姿がある。
ある兄弟の家では、お父さんが毎日仕事から帰ってくるとミットを持ち、夜の22時を過ぎても練習していた。
道中にその光景を目にするたび、継続の力を実感したものだ。
思い返せば、井上兄弟、寺地拳四郎選手、那須川天心選手、レスリングの吉田沙保里選手、浜口京子選手など、父親が支えてきた例は枚挙にいとまがない。
もちろん、母子家庭や父子家庭でも同じことは可能だ。
栄養バランスの取れた食事を用意する、知人から情報を得る、必要なトレーニングを学ぶ、笑顔で送り出す――。
大切なのは、頑張りをしっかり見てあげることである。
おわりに 🌟
礼儀正しさ、物の扱いの丁寧さ、家族の熱心なサポート――。
これらは技術以前の話かもしれない。
だが、こうした習慣や環境こそが、選手を長く支え、舞台で力を発揮させる土台となっている。
強さの影には、必ず理由がある。
それは派手な必勝法ではなく、日々の中に静かに息づいている。
コメント